babel -memo

このページはBabel執筆当時の注釈になります。やっぱり膨大な上、知らなくてもいいことで一杯なので、
裏設定とかそういうものがお好きな方だけご覧ください。各数字はファイル数に対応。
javascriptで折り畳み表示にしてあります。Babel本編と、出来ればUM既読の方のみどうぞ。

000-004.はじまりの言葉

Act.1には入ってますが、実質序章です。

000 雫の所持本いきなり公開
テキスト(文庫or借り物)
・プラトン著『パイドロス』(文庫)
・プラトン著『国家』(文庫)
・世界の名著『アウグスティヌス』(借り物)
・ウンベルト・エーコ著『薔薇の名前』(上)(借り物)
・今村 楯夫著『ヘミングウェイと猫と女たち』(借り物)
教科書(薄い)
・ドイツ語教科書
・ドイツ語読本「ハーメルンのねずみ取り」(ティッセン)
・英語教科書
・英語読本「二十一の短篇」(グレアム・グリーン)
・鈴木 静哉著,竹内 ふみ子著『明解・音楽用語辞典』

いかにも人文教養。これプラス英和、独和辞典です。

000 雫の中に外部者の呪具の核が入ってくる描写があります。
彼女はその瞬間それが何であるかを理解し、しかし忘却させられることになります。

000 ここのドラゴンはご存知の通りナーク

001 アンネリの情勢が不安なのはUM『無名の薔薇』関係

001 ここでの「子供の流行病」とは生得言語欠損のことです。

001 雫は不死なので砂漠だって越えられます。

001 呪具により精神操作を受けている雫は、「相手の言葉が日本語に聞こえる」とは意識できますが
何故そうなのかを考えられませんし、それを不思議にも思えません。

001 エリクとの初対面。ここでの挨拶は180冒頭にも引用されています

002 雫の名乗り。エリクには「水瀬は苗字です。名前は雫だけ。水滴のヴィヴィア」と聞こえていました。
だから彼は直後に「最初からヴィヴィアと言おう」というようなことを言います。

002 この辺はまだ姉妹への引け目がガツガツにある頃

002 文字は人が作ったものなので雫には読めません。例外は呪具の付属品である三冊の本だけです。

003 雫はキスクで働いていた頃はかなりの高給取りになりました。

003 エリクの言う法則に反する記述とは大抵魔女か外部者絡みです。

003 結局は旅の記録は日記として澪のところへ。雫自身は学者兼絵本作家になりました。

003 240年前の事件は外部者の呪具によるものです。それが突然やんだのは逸脱者に破壊された為。
この破壊時に関してはUMの双頭の蛇01冒頭が相当します。

003 カドス砦はUM1幕のレオノーラ戦があったところですね。事件当時はタァイーリも滅びてます。

004 改訂前の記述の魔女とは逸脱者。
改訂がなされたのはティナーシャが当時のファルサス王、ウィルに記述を消させた為です。

004 この世界では国ごとの言語の際は書き文字だけで、それも他国の人間がすらすら読めるくらいの僅かな違いです。

004 この時は人間に興味がなかったと断言するエリク。彼の長い振り回されの旅が始まります。

004 「文字を教えてくれ」と「運命などは所詮人が左右するものだ。」はそれぞれ「おわりの言葉」181に対応しています。

005-008.転がる水滴

章題は変転する雫自身のことです。

005 ここにターキスがいる。けど雫は激しく気づいていません。

005 後にエリクは魔力を補うことによって転移出来るようになります。

005 この頃からエリクにとって雫は長い間妹的な被保護者でいます。

006 雫の髪型はスタート当初セミロングでした。最後はロング。
UM.Babel両方で髪が短かったのはメレディナだけですね。

006 雫の地味なスキル。方向感覚のよさ。
これが走ってばっかりいる彼女の補助になっていました。

006 ファルサスの60年前の話はディスラルのこと。
そしてラルスは一般的には『寛大』と思われてます。

006 この時の指輪をエリクはちゃんと買ってくれてあります。マメだな。

006 ここで武器を疎み、人を傷つけたくないと思った彼女が武器を持って人に相対するのが「人の祈り」です。

007 ここでの兄弟はまだ生得言語を持っています。その為雫からすると言葉が早く見えるわけです。
「しか」が通じなかったのは絵の問題。

007 雫の童顔伝説の始まり。

007 ターキスが言っている魔法士はリディア。

007 アンネリが攻め落とされた件についてはUM「無名の薔薇」にて。

008 エリクは基本的に王侯貴族を信用していません。それにはカティリアーナの一件も影響しています。

009-017.失われた王妃

章題はそのままレイリアのことです。

009 イタリア人はパスタ大好きだなぁ。

009 言葉を教えている時に二人が感じる違和感とは
「音声言語が国によって分かれている」ということに対する食い違いが原因です。

009 この大陸の「鬼」については、機会があったら別作品で。

010 ネビス湖の水神の話についてはUMの030でもちらっとだけ。

010 王と魔女の話はそのままUnnamed Memoryです。

010 御伽噺への興味により、雫はここで初めて呪具の本と接触します。

010 ネビス湖のイメージのモデルはヤムドク湖。

010 写真を撮ろうと携帯を出した雫は既にこの時、元の世界のものを「異物」と感じ始めています。

011 メアはずっと微弱な魔力を外に出して「レイリア」を呼び続けていました。
その名を知る雫はそれを呼び声として感じ取ります。

011 もし記憶を現実化できる呪具が残っていたとしても、それでは異世界には飛べません。

013 ここでの百合をかたどった紋章がレイリアの紋章。

013 雫は知識そのものは思い出せても、初期はその知識までもがすぐに薄らぎます。

013 この旅は可能性を諦めない旅だ、というのがエリクによって確認されます。雫が頑張っているから。

015 人は死ねば何も残らない、という事実は雫の思想に大きな影響を与えることになります。

017 雫は鈍感ですが、他人の心の空虚には時に敏感です。
元の世界にいた時、自分が似たようなものを感じていたからですが。

017 この世界に近づきたいと思う彼女は、長い旅によって徐々にこの世界の人間に同化していきます。

018-025.天に聳ゆ

てんにそびゆ、と読みます。Babelの塔を意識した表題。

018 四大国はメディアル、キスク、ガンドナ、ファルサス。ここで初めてオルティアの話が出ます。

018 雫は後にファルサスでちゃんと豚を食べられました。

018 この大陸は言語が統一されている為、持ち歩ける程の大きさの辞書が存在しません。
なので、エリクが雫の辞書を見てびびっています。

018 Ich lerne Japanisch(私は日本語を勉強しています)

018 ここでようやく音声言語への認識の違いを二人が自覚します。
遺伝が影響しているのか、と聞かれるのは生得言語のせい。

019 音声言語への認識の違いから、エリクは雫が予想以上に「異質」なのではないかと考え始めます。言葉が通じているのは何故なのかも。 この時はまだ彼は、雫の世界には生得言語がないと疑ってはいません。

019 雫の童顔伝説が。お菓子あげるからこっちおいで。

019 塔の部屋そのものが人の精神を歪める魔法陣を内包しています。

020 ここでエリクが語る魔法具が爆発的に作られ戦乱が起きた十年間が「再来期」です。暗黒時代の再来という意味。
ファルサスが魔法具を 輸出したがらないのは「再来期」と同じことが起きるのを防ぐ為、と「人の祈り」で触れられます。

021 ツィツェアのかぶれていた宗教がシューラ信仰です。

021 UMの時代は魂が残らないと知っているのは精霊術士くらいでした。

021 ここで作った辞書は長く重宝します。

022 エリクが壊した方がいいというのは、魔法陣の存在に感づいたからです。

023 まだ自分があやふやだった雫は、この頃は外見を気にしたりもしていました。

023 エリクは魔法士としては異例な程体力と腕力がある人です。鍛えてたから。

023 メアは単純な攻撃と防御以外は苦手です。治癒も使えません。

024 ターキスは養子に出された本当の兄の依頼を受けてペンダントを預かるとクレアに会いにきました。

025 ターキスが「雫」と呼ぶのはクレアに聞いたせい。発音は「ヴィヴィア」です。

025 ナドラス、キスクなどについては「無名の薔薇」にて。

026-052.禁じられた夢想

以後本編に幾度もかかわってくる「禁呪」。それを意味する章題です。

026 エリクは自信の過剰による独力での挑戦に、過去の事件時の自分を思い出します。

026 ここで人にメアに力を揮うことを躊躇った雫がそれをしてしまうのが「人の祈り」です。

026 姉妹を知らない人間が「自分に関すること」を評価してくれるということに雫は戸惑いを覚えます

027 宮廷魔法士には教団からの派遣者がいたり。

027 長距離走が苦手だった雫は、今後散々走り回らされ体力がついていきました。
遺伝が影響しているのか、と聞かれるのは生得言語のせい。

027 エリクが魔法士だと分かるのは魔法着のせい。

027 エリクの構成力が大陸でも上位であることは、後に明らかになります。この時も実は首位で採用されていました。

028 実はこの世界では「将来の夢」と「夜見る夢」は違う単語です。だから本来雫の発言は非常に変なのですが、エリクなので気にしていません。

028 アヴィエラの初登場。

028 ここで雫が読んでいるのはプラトンの「パイドロス」。
言語と指示対象についての話はわりと古典的な命題。ここでの議論は「隠された手」で少し補足されます。

029 シューラ像が出てきます。シューラはUMのシミラと同じ。

029 「混入された便利さよりあるべき不自由を望む」というエリクの考えは、後の雫の決断に大きな影響を与えました。

031 ターキスはこの時26歳。

031 「揃った」は魔法士の人数のことです。

032 紅本との接触。シューラについての記述を読みます。

033 一番目や二番目というのは過去シューラに接触した人間のこと。032の雫の夢参照。

034 雫はエリクと一緒にいたところを見られているので、口封じが来ました。

034 エリクは禁呪に自分の構成を混入させ、のちにその完成を遅らせることになります。

035 この時、エリクは本当と嘘を混ぜて話しています。
彼がファルサスの禁呪に関わっていたのは7年前ではありませんし、似ていても同じ構成ではありません。 ただ相手が不安になって真実を調べたりファルサスに問い合わせたりすれば、禁呪であることが露見すると思って、このような揺さぶりに出ました。

035 「三百年前のファルサス城都での事件」とはUM「変質の旅路」の最後にあたる事件です。

036 雫はここで初めて「人の死」に直面します。この節での「人間」は生物的な意味を、「人」は倫理的な意味を持っています。

036 本が震えたのは本体である雫の接近に反応した為です。

037 雫はこの世界の現実に向かい合おうとしていきます。それは最終章まで続く彼女の努力であり、結果として最終的に彼女の精神は「この世界の人間のもの」となります。

037 エリクにとって禁呪とはカティリアーナの記憶と密接に繋がっています。

037 武器を拒んだ彼女は剣を取りますが、それはまだ自衛や威嚇の為です。彼女は自分が理想家であることを自覚しますが、それを貫こうとします。

040 結局ターキスは最後の問いを聞く機会を逃しています。そして雫の小動物伝説が始まる。

041 カイトが初登場。彼は雫のアンチたるキーパーソンとして何度か再会することになります。

043 雫とカイトは3度の邂逅において、毎回2種の意見を交わすことになります。どちらかに正義があるわけではなく、何を優先するかの違いですが。

044 結局絵本作家になった雫ですが、地図を描くのも特技と言えばかなり特技。

044 エリクが持っているのは雫に買ってあげようとした短剣です。

045 エリクは平面図なら何とか描けます。

045 この世界の人間について「魂・精神・肉体」の説明がなされます。

045 実はエリクの説明をよく聞くと、「人間がみな共通して根源的な感情や基本的な思考の働き、言語などを持っているのは、全ての魂が同じ『何か』に繋がっていることが原因だとされている」と生得言語について言及しているのです。

045 負の海の「諦観、悲嘆、怨嗟」についてはUM 147にも出てきます。

045 800年前の負の穴は、トゥルダールの滅亡時の禁呪によって消滅しました。その後この場所には魔法湖が出来たという。UM051も参照です。

046 雫は魂の構造が違う為、負や瘴気に影響を受けません。

046 エリクは自分の死を覚悟している為、前科がある自分の名で雫が不利にならないよう口止めしました。

047 妹やカティリアーナを思い出させる雫が、エリクの中でいつのまにか過去を忘れさせる彼女個人になっています。

047 ここでイドスが雫に止めを刺したのか否かは明らかになりません。ただ彼女はどの道不死ですし、イドスは彼女との接触で何かを思ったのか、禁呪を破壊しに向かいます。

048 ここでの海は雫の無意識が作り出したものです。彼女は自分が呪具であることを無意識下では知っています。

048 「禁呪の知識など普通の魔法士にはない」というリディアで、エリクの前歴が普通ではないことが分かります。

049 レティとラルスが初登場。

049 大量出血しても死なない雫の不死性が垣間見えます。

050 「劣等か優越か」とは、負の感情自体は劣等でありますが、それを負と認識し得ることは理性よるもの、であり「優越」でもあるという意味です。

050 雫は物語の最後まで「人の精神は貴い」という姿勢を貫きました。

050 シューラは雫が呪具であると気づいています。実際雫の中にある呪具は「人の意志」によって排除されることになりました。

052 レウティシアは彼ら二人に気づきませんでした。

052 オルトヴィーンがラルスとどういう関係かはUM「無名の薔薇」にて

053-055.足りない破片

雫自身の謎について、ピースが出始めますが情報が揃いません。

053 二人は偶然の事故で逸脱者の屋敷近くの地域に出ます。

053 美醜が分からないと言っていたエリクがレティを「美人だから」と言ったのにおかしいと思わない雫。

053 雫がエリクに怒られるのはキスクで再会した時です。

053 雫は内心、この世界への愛着を覚え始めています。

053 ここで雫がウェディングドレスを着たがっていたという情報は「幸福の色」でエリクの勘違いを助長することになります。

053 出会った二人が逸脱者。リースヒェンとオスカーです。エリクはこの時リースヒェンが強力な魔法士であることを看破し、雫は呪具がオスカーに破壊された時の記憶を感じ取って気分が悪くなります。

054 リースヒェンは雫が呪具であることを感じ取ります。
オスカーが気づかなかったのは、雫が「人」に見えたせい。
リースヒェンの方が境遇により人間に対する先入観がないので直感しやすかったのです。

054 呪具としての雫と、本来の雫との相克。逸脱者と出会ったことで雫は彼らが人であった頃の記述を読み取ります。

054 魔法薬に消化のよさなどは関係ありません。

054 ここで雫が夢見るシューラとファルサスの戦争はUM「無血の傷跡」にて。エルテリアで消えたはずの記録が読み取れる、ということはつまり外部者の呪具が関わっていることが分かります。

054 ここでのメアの約束を雫は最後守ろうとしますがエリクやレティに止められます。

054 子供の流行り病が言語に関する病気であることが分かります。

054 エリクの妹はBabelには出てきません。

056-065.無言の花嫁

意志の疎通を試みようとしない人間関係のすれ違いがモチーフです。

056 この世界には動物が喋る寓話はほとんどありません。だからこそ「喋る蛙」の話は雫の世界の童話と思われていました。

056 UM時代よりアイテア信仰が薄らいでいます。大陸分割神話はBabelには直接関係しません。また精霊術士は魔法大陸にしか生まれません。

056 ここで全文書処分の事件がエリクによって少しだけ触れられます。彼はこの事件を長く不審に思っていますが、それは雫と言語のずれを確認することで徐々に強くなっていきました。

056 アマベルの「どこの出かも分からぬ野良犬」は出生に事情のあるデイタスのむかつきポイントにクリーンヒットしました。

057 ここで雫が見る過去の夢は「自分の名前を呼ばれない」というこれからの事件の象徴でもあります。

057 事前知識のないデイタスには「雫」が「ヴィヴィア」ではなく「シズク」と聞こえています。彼が雫をカタカナで呼ぶのはその為です。

058 ラオブの街は旧トゥルダール領地内にあります。その為歴史が浅いのです。アマベルの生家があるニスレはUMAct.1で「海の青」の舞台となった街です。

058 ネイについて、というか彼が何処の出身かはまた別の話で。

058 エリクがちょっと怒ってる。

058 人の中に善性を見出そうとする雫は、デイタスにも「何か」があるのではないかと思いだします。

059 雫が転びかけたのはわざと。悲鳴を上げる為です。

059 アイテアとルーディアの神話は生得言語についての伏線です。

060 冒頭はデイタスの回想。冷たい目の少女はヴァローラです。

060 デイタスは最初から自分の死を計算にいれて計画を立てていました。

060 ヴァローラが雫に望んだのは家族への愛情。雫が愛情を受けて育った娘で人にもそれを注ぎ得ると判断した為です。

061 ヴァローラはデイタスに似ています。異母兄妹なので。

061 雫は姉妹へのコンプレックスが少なくなってきています。自己が確立し始めたことと、この世界に馴染み始め「遠く」なったからです。

061 デイタスはヴァローラにコンプレックスを持っています。Babelには各所に歪な兄弟姉妹関係が点在しています。

061 発火の魔法陣はテロ用。

062 言葉の伝達による不自由さは常に付いて回る問題です。

062 花には火薬が。デイタスは計画の成功を最優先に考えながら、雫を憎悪の対象外ともしています。

062 雫の頑固っぷりが顕著になってきた。

063 この時のヴァローラは既に父親を殺しています。顔色が悪いのはその為です

063 理解する気がないから聞こえない、というのも神話の一つの解釈。ただ実際はアイテアの言葉は違う言語だったのですが。

064 ネイは異能者の家系の生まれです。が、この家については別の話にて。

064 ヴァローラを初めて見た時、とは子供の頃の話。

064 そして「また拒絶した」とは子供の時、石を投げられたことの為です。

064 最後の「かつて」や「あの時」は子供の頃の話。ヴァローラはかつてデイタスを腹違いの兄と知らずに出会い束の間共に遊びました。その時のことです。

065 またエリクが怒っとる。

065 デイタスとヴァローラは取り返しのつかないところまで来てようやく相互理解を得ます。子供の頃に離れてしまった手を掴むのにこれだけの月日がかかりました。

066-083.異質と罪人

異質は雫、罪人はエリクです。

066 雫が持っているのはプラトンの『国家』。書くの忘れてたので所持本リストに追加しました。

066 ファルサスは1月半ばから-3月半ばくらいまでが夏です。

066 ここで平服を暑がっている雫も、宮廷に仕えるうちにきっちりした服装に慣れました。

066 エリクは貯蓄が結構あるのと、学問に金を惜しまない性格なので気にしていません。彼がお金を持っているのはファルサス時代の報酬に手をつけてなかった為です。

067 ここで雫が出会う子供は生得単語の欠損が見られます。色の名前が分からないのはそのせいで、母親が挙動不審なのも病気に気づかれたと思った為です。

067 結局エリクは本編終了までに主要単語について自作の辞書を作り終えたので、雫の持ってきた辞書はバッグごと返されています。

067 カティリアーナの事件時、ラルスはまだ王ではありませんでした。彼はエリクについて名と事情を知っているだけで顔は知りません。

069 箱庭と虫の隠喩は、UMにも出てきたようにこの大陸そのものの象徴でもあります。

069 ここでのラルスとの対決はある意味今後の雫の道行きを決定します。理不尽に屈しないことと精神の為に命を賭けて戦うこと。彼女はラルスに自分が人間だと認めさせる最後までこの姿勢を保ちました。

070 この冒頭は外部者の呪具のこと。オスカーによって砕かれた呪具は人である雫の中に。そうしてまだ気づかれていません。

070 雫に「大丈夫」と言って治療しているのはレウティシアです。

070 この部屋は「おわりの言葉」で雫が目覚めたのと同じ部屋。

071 雫は直感的にラルスの性格が表層に過ぎないことを見抜きます。が、彼はそれを雫に見せることはしませんでしたし、彼女も踏み込みませんでした。

071 時間遡行が出来たのは外部者の呪具だけです。ラルスはだからこそ雫に「時を戻せばいい」と皮肉を言いました。

071 ここでニケの登場。

072 冒頭は外部者の呪具の雫への支配。

072 最終的に雫は女性としてはかなり体力がつきますが、ラルスにしごかれたことが効いてきてます。

072 ここでは結局50周は走ってません。あくまでラルスが「50周するぞ」と言っただけです。

072 勿論ティナーシャ・オスカーの遺体やウィル・クリスティネの遺体もあります。もう白骨化してますが。

072 ラルスは「苦手な食べ物でも人が自分の為に作ったなら食べよう」という奇特な人。勿論毒見はされています。

072 精神に関する質問は、ラルスが雫を外部者の呪具と疑っている為です。もし呪具ならば人の精神を実験物としか見ていないだろうと彼はあたりをつけていました。返ってきた答は合理主義的なものでしたが。

072 雫は「呪具にはまったく見えません」。ラルスが彼女に敵対し続けるのは彼の性格の為で、本音を言えば彼も「人間にしか見えない」と思っています。雫の異質を見抜いたのはエリクだけです。

073 エリクはここでカティリアーナがクレステアであったことを知ります。

073 エリクやレウティシアから見る「カティリアーナ」とラルスから見る「クレステア」はまったく違います。人格が違うので当然なのですが。

073 ここで指摘される謎の男はオスカー。使役された精霊はカルとミラです。

074 冒頭は雫の無意識下に働きかける呪具と雫とのやり取り。追ってくる「あれ」とは二振りのアカーシアを指します。

074 ラルスは本編完結後、雫の手によって煮物を食べています。

074 ラルスが暗に示す外部者の話に何処かで聞いたような感じを受けるのは彼女の中に潜む呪具のせいです。

075 ラルスの母親は暗黙裡に処刑された為、罪人扱いになっていません。

076 ここでの魔女はティナーシャとフィストリアのことです。

077 エリクはカティリアーナが本当にクレステアならそれを確かめたいと思って呼び出しに応じました。

077 カティリアーナはクレステアの下位人格。クレステアはカティリアーナの記憶がありますが、カティリアーナはクレステアの存在を知りませんでした。彼女が自分本来の人格の存在に気づいたのは事件が起きてからです。

078 ラルスがカティリアーナの死体を見られたくないのは、彼女が死後しばらくして術が完全に消え、本来の姿に戻ったことを知っているからです。

079 「元の感情」とはラルスへの敵意。ですけどディルギュイは雫の精神に操作をかけた結果、呪具の反撃により精神を破壊されます。「粗雑で稚拙」なのは呪具の精神操作に比べてディルギュイのものが劣っていたということ。雫はこの一瞬自分が呪具に侵されていることを思い出しかけます。

081 「殺して」はカティリアーナと同じ言葉。ですが雫がそう言ったのはディルギュイの操作によるものです。

081 「忘却の忘却」とは「記憶操作により忘却をかけられたこと」を更に忘れるということ。

083 今回の一件で、エリクは本当の意味で不可解さと割り切れなさが残っていた過去にふんぎりをつけました。

083 「殺して」と言ったのはカティリアーナ。力を欲したのはクレステアです。二つの人格は鬩ぎあいの果てに、カティリアーナの望む幕引きを迎えました。

083 雫とエリクの場面の最後、彼女の笑い声が庭の花の上に落ちていったという描写は、カティリアーナには咲かせることの出来なかった花、つまり未来の可能性が雫には残っていることを意味しています。

083 最後はオルティアとニケ。すっかり完結時にはツンデレ姫と不憫になってしまいました。

084-090.隠された手々

そのものずばり秘せられた干渉を意味します。複数形になっているのは、雫からして「生得単語の存在」と「外部者の干渉」という二段構えになっている為。

084 ここでBabel内においてようやく「外部者の呪具」の存在が明らかにされました。

084 雫がラルスを恐れるのは呪具がアカーシアを恐れているせいです。

084 ラルスが例にあげたのは既出の呪具。全て破壊済みです。

084 呪具にとっては雫がファルサス城に来てしまったのは計算外。ですが行動を左右するほどに精神操作したりすれば、雫に何かが潜んでいると見破られる原因になるので出来ませんでした。

084 ラルスとレティは逸脱者が自分たちの先祖であることは知っています。が、それを言うことはしませんし、彼らに連絡が取れないのも本当です。

084 元が「蛙」という生物の姿だったので、それが「人間型」になっただけと判断されれば雫は殺される可能性もありました。最終幕で雫が助けられたのは、彼女が「自殺」というある意味人間的な行為に踏み切ったのをオスカーが見ていたことと、全ての事情を知っているエリクが彼らに説明した為です。

085 雫が音楽プレーヤーにピアノ曲しか入れてないのは創作上の都合です。ここで歌などが入っていれば、彼女の話言葉がおかしいともっと早く気づかれる可能性もあったので。

085 雫は大分この世界に馴染みつつあります。困難を越えて図太くなる度、彼女はこの世界の人間として変わっていきました。

086 アヴィエラは外部者の存在は知りませんでしたが、繰り返しの記録から大陸が何かしらの実験の対象になっていたことに感づきました。

086 「盲目の魚」でオルティアが精霊を与えられたのはこの「間接使役」によってです。

086 雫が逸脱者の話に違和感を覚えるのはエリクがリースヒェンの魔力の大きさを指摘していたため。エリクは珍しく忘れてました。

086 ここでハーヴがいうファルサスとセザルとの戦争とはUMAct.2のこと。そして雫が夢で見た事件です。雫自身はそれを忘れてしまっていますが、エリクは覚えていた為、「雫には何かある」と確信するようになりました。

087 ラルスは直系としては雫への敵視をやめませんでしたが、個人としては彼女の根性を気に入ってもいました。予想がつかない小動物なので面白かったようです。

088 ここでようやく生得単語と、病の実情が明らかにされます。

088 雫が言う「言葉を使わないで子供を育てる実験」はヘロドトスの『歴史』の中にプサンメティコス王の実験として記されています。

089 実際は共通言語階層などという階層は存在しません。

089 ここでも書物の消失について少し触れられます。

089 太陽と牢獄はプラトンの洞窟のイドラからのモチーフ。

089 訛りについては呪具の干渉を見抜く伏線です。

089 呪具だと気づかれれば殺されるかもしれない、という恐れは雫と呪具共通のものです。また雫自身が呪具に気づいてしまうということもイコール自身の死に繋がる為、彼女はそれを無意識下で恐れていました。「気づかれれば」どうなるのか、は人の祈りの178に繋がります。

089 異世界出身という意味で異質であり同胞がいない雫は、呪具を孕んだ人間としては元の世界にも同胞がいない孤独を味わうことになります。

090 何故雫は言葉が通じるのか。何故それを不思議に思わないのか、の問題がここではっきりと提示されます。

090 呪具に変質させられたことを知っている無意識下の雫は、呪具であることを暴かれることを恐れつつも、それを明るみに出して呪具を退けて欲しいという願いをもってエリクに希望をかけます。

091-099.孵らない願い

ここではそれぞれの人間の希望のままならなさが垣間見えます。

091 冒頭は呪具と無意識下の雫のやりとり。「ゆりかご」とは雫のことです。

091 キスクは後発の国なので文化的にはファルサスと大差ないです。

091 サモトラケ、とは地名。「サモトラケのニケ」という彫刻があるので、雫はそう揶揄しました。

092 Act.3に通して出てくる「むせ返る程の香の匂い」とはオルティアの閉塞性を意味しています。「盲目の魚」ではそれは彼女の纏う女王としての冷酷な姿の象徴となりました。

092 扇はオルティア装備の打撃武器。よくむかつく相手に投げつけたり頭はたいてます。威力はあまりない。

092 雫から見る妹と、妹から見る雫は当然のことながらそれぞれ自覚している自分とは差異があります。結果的に姉である雫は澪よりも肝の据わった人間になりました。

093 この実験をやらせていたのはベエルハース。ですが雫はそこから彼の本性を読み解くことが出来ませんでした。

094 「彼」とはエリクのこと。この幕では雫は甘えを捨て自立する為に、意識的には彼のことを一歩置いて思い出します。

094 リオがカタカナで「シズク」と呼ぶのは音だけを聞いた為。「ヴィヴィア」ではなく「シズク」と呼びます。後にニケはこれを愛称と勘違い。

094 呪具である雫はその力がほとんど失われているとは言え、生得言語に関しては影響力もまた持っています。短期間でリオにかなりの単語を覚えさせられたのは彼女たち自身の努力も勿論ありますが、呪具の力も働いていました。

094 オルティアは自分に忠実なファニートよりも反抗心を持っているニケを気に入っています。そしてファニートはそれをよく思っていないのですが、雫はファニートの異様なまでに強固な忠誠と嫉妬を最後に知ることになります。

094 Act.3は全員が一筋縄ではいかない表裏を持っていますが、ウィレットだけは唯一普通の子です。

095 コペルニクス的転回とは要するにそれまでの考え方をがらっと変えること。

095 ここでのアイテア信徒の話は後の伏線に。雫は「どうして生得単語が固定されたのか」を不思議に思います。

095 ニケがリオを懐柔したのは試験の時に緊張しないように。

097 ニケは実は、雫の住んでいる小屋の周りに感知結界を張っていました。兵士などが彼女に悪さをしないよう誰かが通れば気づくというものです。それに夜中に引っかかる人間がいた為、見に行ったところ雫たちがいなかった。ので、彼は二人を探してここに現れます。

098 ここでもニケはリオの緊張を解く為に、わざと時間をかけて身体検査をしながら冗談などを囁いていました。勿論カードを落としたのもわざとです。

098 セイレネは「無名の薔薇」からここに。

098 この時ニケはむしろさっさとリオを連れ出して死亡報告書だけを書いて逃がそうとします。そしてそれはオルティアにもお見通しでした。

099 雫は自分の世界の技術を欲しがられることを避ける為に、「言語以外は何も変わらない」とオルティアに嘘をつきました。

099 リオとは本編完結後、何度か会うようになります。

099 雫が甘えるというか気が抜けるようになるのはエリクに再会した後のことです。

100-105.日蔭の蕾

表には出てこないそれぞれの希望や可能性が垣間見えます。

100 「大陸中央南部を舞台に数国が錯綜する戦」とは再来期の時のことです。

100 Babel,UM共に本編中には出てこないディスラルですが、Babelにはそこかしこに影響を残しています。

100 雫のドライさはエリクに近づきつつ……。

100 雫の好みは曖昧ですが、本編中これに合致するのは男性ではエリクしかいません。

100 オルティアは雫を所有している、という意識があります。ベエルハースが雫への興味を失っていなかったと彼女が知るのは、トラスフィがかけられた後のことです。

101 ここで雫が呪具の本に出会います。この本はロズサークから逸脱者を避けてやってきたものです。触れて痺れが走るのは雫が本体のせい。既視感を覚えるのは夢の中で見ていた為です。

101 セイレネは本に若干の精神操作を受けています。が、これをロズサークから持ち出してきたことは「不味いこと」という認識もまたあります。

101 花雨の日を知らないことで、セイレネはキスクの人間ではないと雫は知ることになります。

101 自分の手の中でなら挑戦的な態度もよしとするところなど、ラルスとオルティアは似たところを持っています。

101 チョコ食べたがってる雫がチョコを作れるようになるのはここから数年後です。

101 雫の発想はだんだん現代日本人から異世界の人間のものに。

102 密偵をしていたこともあるニケは、雫とエリクが一緒にいるところも見たことがあります。

103 冒頭は幼いオルティアと彼女を助けに来たファニート。

103 ファニートが大事なのはセイレネではなくオルティア。彼女に嬰児殺しをさせたくないが為です。

103 雫の方が他人よりも言語を教えられるのは呪具である為。

103 雫が来る前から流行病が発生していたのは、オスカーとの連戦で呪具の力が弱まったせいです。

103 ここで姫とニケが「無理か」と言っているのはラルスの暗殺です。

104 ユーラがあちこち動き回っているのは密偵として探りを入れているせいです。彼女はファルサスから「雫に気をつけていろ」と命令を受けているので、ニケやファニートに近づかないよう忠告します。

104 この論文はエリクの手に渡り、彼の推論を導く手がかりとなります。

104 トライフィナの話は今のところ書く予定がない話です。もし書いたらAuraticaくらいの長さになるでしょうが。

105 かつて民の為に親に裏切られたと思っているオルティアは、国と民を打算的な関係として見ています。

105 雫とオルティアはお互い相手に「なるかもしれなかった自分」の姿を見ながら反目しあい、変わっていきます。

105 ベエルハースの言う「何の気構えもなく打ちのめされて、そこから這い上がれる人間」の一人はまさにオルティア。ただし彼女は這い上がる際に歪んでしまいましたが。

105 ベエルハースは雫からオルティアの情報を得る為に、「オルティアの傍にいてやってほしい」と頼みます。

106-117.鉄鎖の鳥籠

雫への束縛、そしてオルティアを閉じ込め続けてきた鳥籠を意味しています。

106 セイレネは出産が近づきつつにつれ野心がなくなり、本からの精神操作もあって茫洋とした虚脱感を抱くことになります。ロズサークに残っていたら王の第一子を生むことで、オルトヴィーンとどういう関係を築けたのか、彼女は口には出しませんが考えています。(彼女が呟く「陛下」とはオルトヴィーンのことです)その上でまたオルティアが子供を見逃すはずがないだろうということも考え、雫に後のことを頼みました。本を預けたのは精神操作のせいです。

106 ティゴールはこの時既にベエルハースによって投獄されており、その後脱獄することになります。

106 ここでの魔法士提案の出産方法は赤子を構成をかけて引き出すというもの。魔法士の子供によくやられますが、ヴィエドは直系として魔力があるので支障がありません。

106 「誰も味方がいない」という意識があったニケは無意識に雫を思い浮かべ、彼女の元へと転移してきます。

107 キスクに対し愛憎一体の思いを抱いているオルティアは、キスクがファルサスに滅ぼされようとも構わないとこの時思っていました。

107 ユーラの報告などから一連の事件の犯人をキスクの人間だと踏んだレウティシアは不穏になっていたカソラを張っていました。

107 ニケは暗殺に特化した構成をいくつか編み出しています。

107 ニケに仲間意識がある雫は躊躇いなく彼を庇い、戦います。この矢はレウティシアがニケの殺害兼偵察として構成したもので、大体の経路を記憶し疎外者がいるならそれが誰であるか判別できるようにしてありました。ここでレウティシアは雫が矢を破壊したこと、そしてその事実から彼女が自分の意志でキスクにいる可能性があることを推察します。結果レウティシアは、雫が束縛されていると思っているエリクに対し、「期待に添えないかもしれない」と告げています。

107 「おわりの言葉」以外で「ヴィヴィア」が出てくるのはここだけです。

107 Act.3は歪みが一部連鎖しています。ニケを歪めたのはオルティア。けれど彼女を歪めたのはベエルハースであり、それを助長したのはファニートです。

107 ここからニケは明確に雫に惹かれだします。彼の不憫伝説の始まりです。

108 ここでセイレネは既にファニートに殺害されています。生まれたばかりの子をオルティアに渡すことを拒んだ為です。

108 部屋がそのままだと後に指摘したのはユーラ。こっそり調査をしていた彼女は早い段階でヴィエドの母親が処分されたことを見抜き、ファルサスに報告しています。

108 ターキスたちの前に現れる男はティゴールの部下。彼はオルティアがよく暗殺者を使うことから別筋に依頼を頼み、カイトに行き着きます。カイトは本来傭兵であって暗殺者ではありません。

108 ターキスとリディアはこの後魔物が出るというメディアルに向かい、ヘルギニスでの戦闘に巻き込まれます。

109 ニケは勿論父親がオルトヴィーンであることを知っています。ただ彼はセイレネの話を聞いたので、ラルスとオルトヴィーンが異母兄弟だと思っています。。

109 オルティアはファルサスを過去にしがみついていると批判しながら、自分も王族であることにこだわり続けていることに気づいていません。いつでも逃げられるのに逃げられないと思っているのは彼女の強迫観念です。

109 この時から雫は歪められたオルティアの本来の姿に手を伸ばしたいと思い始めます。そしてまたオルティアは自分の与える恐怖に屈しない雫の真摯を感じ取り、歪んだ自分の孤独を思うようになります。

110 雫がトライフィナのことを知っているのは呪具の本を読んでいるせいです。トライフィナもまた周囲によって歪められ、義務感と希望の狭間で鬱屈とした生を送った人でした。

110 オルティアは本来、誇り高く自信家で、その分臣下や民への優しさを持っている性格でした。

110 最後はファルサスの出軍決定の場面。

111 ファニートはオルティアを救いたいと思いながらも彼女を城から出したくないと思っています。彼が香を消しながら空気を換える窓の隙間を閉めるのはその思いの象徴です。

111 オルティアはトライフィナの真実を知っているので雫の意見に自嘲を覚えます。「この城にいなくてもいいのか」という問いは「自分は不要なのか」という思いと「解放されてもいいのか」という思いの両方が込められていましたが、ファニートはオルティアを城に縛る答を返します。

111 ベエルハースは架空の話として雫に虚偽を刷り込みます。雫が最後で呼びたいと思った名はエリクです。

112 空気に混じる「何か」とは血の匂いです。

113 雫が正しいわけではなく、カイトが正しいわけでもない、平行線の二人です。善悪によってことの是非が結論づけられない以上、彼らは最終的に感情によって対立します。この問答はまたカイトと雫両方に揺らぎをもたらしています。

113 ベエルハースの狙いは最初からオルティアを罪人として排除することでした。長じた彼女の力が御せないくらい強くなってきた為です。

115 ラルスの婚約者になるはずだったオルティアは結局ラルスの子を産むことになるのですが、それは完結後のお話。

115 血族を愛しながら相争うとは六十年前から続くファルサスの政争を揶揄しています。

115 トライフィナを束縛し指示を出していたのは彼女の弟です。トライフィナの名がトラスフィになっているのは、魔法士であった彼が姉に真実を黙秘するよう編み出したこの術をかけたことが元になっています。

115 ニケは雫を長い間抱き上げられるほど腕力がないので、基本魔法を使って動かします。

117 オルティアの気遣いは方向性が激しく間違っています。ちなみにファニートなら受諾しました。居合わせたのがニケだったからこそ雫は無事ですんでいます。

117 ありえない空想とは「友達になれただろうか」の方ではなく「別の出会い方」を指しています。

117 雫が重ねる決断は全て最終章への布石です。

117 起きている時は気を張ってエリクを頼ろうとしない雫は、夢の中では本音が洩れます。

117 暴力が怖くていいなりになったこと はデイタスとの時のことです。

118-137.優しい指

人と人との繋がりの温度。救う手の温かさを示す章題です。

118 ベエルハースはファルサスの侵攻を待ってその原因をオルティアに帰し、三家審議で彼女を罪人とすることを予定していました。結果それまでの間ワイスズ砦に持ちこたえろと命じています。

118 雫はオルティアを見捨てるのではなく、彼女を立てベエルハースと戦うことを決意します。ファニートに頼んだのはティゴールの捜索です。

119 雫の考える「こんなこと」とは歪みの連鎖です。

119 雫はベエルハースの所業をいくらか明るみに出し、またそれにかこつけていくつかの冤罪を着せてしまおうと考えていました。オルティアを被害者として仕立て上げるという策は、しかしオルティア自身の手によって正面からの十二家審議に変えられます。

119 城に縛られているという先入観があるオルティアに「逃げてもいい」と言ったのは雫が初めてで、最後です。当然ながらそれを聞いてファニートは止めようと動きかけます。

119 籠と鳥の比喩は「鉄鎖の鳥籠」から引き継いでいます。

119 雫にとってベエルハースは姉妹にコンプレックスを抱く悪しき可能性。そしてオルティアはそのコンプレックスに変質させられた鏡像です。彼女はオルティアを支えベエルハースを討とうとすることで、「あったかもしれない可能性」を乗り越えほぼ自己を確立することになります。

119 雫からニケへの「お願い」は、ジレドを陥れベエルハースと引き離す為の方策です。この辺は適材適所ということでニケには裏側の仕事を頼みます。

119 「凄く衝撃的なことがあって方向性が変わった人」とは雫自身は勿論知りませんが、ニケもまた該当しています。彼はそれが分かるからこそ雫の望みを受け入れました。

120 実はユーラはこの前からオルティアが赤ん坊を擁していることを知っていました。彼女が雫の異常に敏感なのはファルサスから監視を命じられている為です。

120 雫はここで「ジレドが想い人である」と広めます。彼を懐柔したとベエルハースに思わせる為ですが、ニケはこれに更に一歩を踏み込んでジレドを謀殺する隙を窺っていました。

120 オルティアは子供の頃の事件を「無力であったからこそ切り捨てられたのだ」と思い、今度はそうならないと決意を固めます。そしてこれを機に、部屋からは香の香りが失せ、新たな風が吹き込みます。

121 ティゴールはベエルハースの所業を知り、なおかつ諸侯からの信頼も篤く、なおかつ真相をオルティアに教えることの人間として雫に期待されています。

121 雫はラドマイ侯に生まれたばかりの孫がいることを見て取って、言語教育の優先と引き換えに彼を取り込むことを考えます。

121 鳥の足は二本です。

121 構成禁止の結界はUM「白紙の子供」でティナーシャが張ったものと同じです。ただティナーシャの方はこれを他の構成と掛け持ちで広範囲に、なおかつ単独で張っていたところが実力差ですが。

121 ラルスの言う「使えそうなもの」とはエリク。レティから彼が構成のエキスパートであることを聞いていたラルスは結界破りがさせられないか、エリクを借り出します。

121 ジレドは少女趣味です。雫が彼に出会ってぎょっとしたのはラドマイ侯と交渉をしていた為。しかし気づかれていないと分かると、雫はこれを好機と考えました。

122 ベエルハースの考える雫の別の庇護者とはジレドのことです。

122 ラルスの寵姫との真相は「盲目の魚」でオルティアが看破しています。

123 オルティアは凡庸を嫌う、というより、趣味が変です。が、ニケもさすがにそうは言えません。

123 穴を掘らせてはそれを埋めさせるを繰り返すのは精神的な拷問の一種だったそうです。雫も大概容赦ない。

124 ここから出てくる蒼い魔法具を耳につけた男が、エリクです。仲悪いですが前衛ラルスで後衛エリクのコンビは大陸トップクラスの組み合わせ。

124 他国の領土では未踏の場所へ転移門を開くのは難しいですが、自分たちの陣地へ開くことは既に座標が判明しているので簡単です。トゥルースは砦内に侵入後、いわゆるこの逆ゲートで別働を引き入れます。

124 「凄いけど迷惑」なことをしたのはエリクだと、Act.3が終わる直前まで雫は知りません。

124 傍若無人だけど妹だけは大事というラルスの話をした雫とニケは、同時に「もしオルティアが大事にされている妹だったら」とありえない可能性を考えます。

125 「遠いこの世界で言葉が通じることは幸運」ですがその皮肉にまだ誰も気づいていません。

125 強く在れと、この時雫に言われた言葉をオルティアは一生体現していくことになります。

126 雫はよく馬鹿を見る目で見られています。

126 ここで「オルティアの手を握ったことがない」と考えた雫は、別れ際に彼女の手を握ります。

127 実はこの世界では戦場でも全身鎧を着る人間はあんまりいません。全身鎧を用意出来るくらい身分や財力のある人間は魔法士や魔法具で防御を補うので、動きやすさを重視します。

127 帰還よりもオルティアの行く末を見届けたいと思う雫は、大分こちらの世界に染まりつつあります。

127 雫が「こんなのあるんだ」と言ったのは問題の水晶窟。ニケが後で水晶と魔法具についての薀蓄を語るのは伏線です。

127 出血しすぎても気分が悪くないのは雫が不死であるせいです。

127 ラルスが兄妹間の争いに「覚悟が足りない」と言った理由は「盲目の魚」の最終節にて。

127 ラルスが聞いた報告は雫が負傷をしたというものです。彼はエリクに無傷で雫を引き渡す契約をしていた為、急ぐことにしました。

129 冒頭はカソラ侵攻時の住民のモノローグ。「あの人」とはディスラルを指します。

129 「千夜一夜みたいだ」と言ったのは当然雫です。

130 ここでオルティアが触れる老人の指が「優しい指」の一つです。

131 雫はベエルハースが歪んだ過程を知れば、姉妹にコンプレックスのある自分にも影響がありそうで知りたくないと思います。

133 雫の背後にいた二人のうち、ベエルハースの手下は一人だけ、もう一人は同僚が雫に攻撃しようとしているのを見て剣を抜きました。が、ニケはまとめて気絶させてます。

133 僭王とは王の資格がないのに玉座にいる人間を罵る言葉です。ここから犯人は王位の正統性を主張する人間であることが分かります。

133 ニケは雫より体力ないです。

133 ニケがエリクの魔力に既視感を覚えるのはそれがレウティシアの魔力である為です。

133 ユーラはヴィエドがラルスの子でないことを知っています。そしてその上で雫を誘導してファルサスに保護させようと思っていました。

133 避妊薬についてはUMに描写がありますが、男女どちらかが飲んでいれば子供は出来ません。

133 オルティアの傷つけられた子供としての側面は、ファニートに拠っており、彼の死と共に封印されます。

135 雫を抱き上げた手はエリクのもの。

135 体の中を動かすとは、内部に潜んだ構成が消されているせいです。エリクの指は肌の上に置かれています。そしてこの指が「優しい指」の二つ目。

136 雫が水晶窟の真実を知っていたのは呪具の本を読んだ為。しかしこの一件で彼女は後にラルスから疑いをかけられます。

136 結局雫は帰る方法を突き止めた上で、残留を選びます。

137 オルティアに対する劣等感とは別に、ベエルハースも彼なりに国のことを思っていました。

137 ベエルハースはオルティアをかつて陰謀にて閉じ込めたと同じ、暗くて誰も来ない部屋にて命を落とすことになります。

137 カイトは雫との邂逅のせいで、人を殺しても楽しいと思えなくなっています。

137 オルティアの手を握る雫の指が「優しい指」の最後。

137 ニケもこの区切りに過去の清算を決めました。師匠に会いに行くのはその為です。

137 エリクへのあてつけ。雫はファーストキス、なんですが、ニケの不憫伝説は続きます。

138-144.神の書

アイテア信徒に神の書と思われていた呪具。本の存在がようやく浮上してきます。

138 この世界の書き文字は論文を書く為に洗練されており、一般人の書き物や文学作品はもっとゆるい文法で書かれています。

138 雫が言う注釈書が当然のものになっているのは西洋哲学。注釈自体が著者の解釈になっています。

138 この世界に馴染みつつある雫にとってはもう「元の世界に帰ったら」という仮定の方がそぐわないものになってきました。

139 呪具の本体であるカエルが初出です。この王はタァイーリを滅ぼした時のメディアル王で、カエルは王を内側から殺して這い出た後、宰相に拾われ代々受けつがれることになりました。

139 「枕元に積んであった本」とは呪具の本のことです。

139 生得単語があった方がいいと考える人もいる。これは仕方のないことです。そしてこれは後に雫が残留を決める一因にもなりました。自分が拭った代わりのものを広く根付かせたいと雫は思ったので。

140 雫が言及する本はアウグスティヌスの「告白」です。

140 エリクの言う国を滅ぼした禁呪の例はトゥルダールのもの。

140 子供の禁呪実験を行った国は「ローステン」。この話についてはいずれ何処かで。

141 アカーシアが魔女討伐に用いられた、とはオスカーがレオノーラを殺した時のことです。

141 雫がアカーシアを恐れるのは呪具のせい。結界を切った瞬間違和感がよぎったのはアカーシアの力の発動に呪具が反応した為です。

142 冒頭は呪具に気づかない雫自身のことです。

142 「言語が当たり前であるように」知識の出所は意識できない。どちらも呪具の干渉が影響しています。

142 全文書の処分を行ったのはまた別の外部者です。

143 雫は精神の根底では自分が呪具に支配されていることを分かっていますが、表層ではそれを思い出せません。呪具との繋がりが密接な時は根底の精神が幾分出てくるので、呪具について少し思い出します。

143 呪具が雫に望んだのは彼女が「語り手」になること。つまり「記録と保持」をつかさどる呪具そのものです。

144 消された試行が300年前で終わっているのはエルテリアが破壊された為です。

144 エリクが気づいたのは「移民によって本が持ち出されたのではないか」ということ。そこから訛りの発生原因へと瞬時に推論を進めた彼は、言語そのものが呪具の支配下にあることを悟ります。

144 ここでもドラゴンは珍しいということが繰り返されます。

144 生得言語が戻り始めたのは呪具本体が回復してきた為です。雫はエリクが出てこないという話から一瞬、自分が本を読んでいた時のこと、ひいては最初に呪具に支配された時のことを思い出しかけます。

145-148.堆し塵

塵は人間の体、もしくは人間そのものの暗喩です。積み上げられた犠牲者と、その上に立って戦いを挑む人間のことを意味しています。

145 冒頭はエリクのモノローグ。彼は雫の頑固さとひたむきさの愚かも知りながら、それを貴いと思い彼女を助けたいと思っています。が、同時に彼は彼女が本当に「異質」であることにも気づき始めます。

145 雫のチョコとのバトルが始まります。この世界でのカカオは一部でしか取れない苦い滋養剤であり、マイナーな嗜好品です。

145 エリクが部屋への立ち入りを禁じたのは呪具の本を置いていく為です。

145 彼が雫に帰れない可能性を指摘したのは彼女が呪具と深い繋がりがあって帰れない可能性が高いと思っている為です。その上で彼女が帰還を諦める気があるなら彼は呪具のことを伏せてこの世界に彼女の居場所を用意しようと思っていました。諦める気がないのなら共に旅を。それが彼の出した答です。

145 雫は「この世界に残りたい」という希望を持ち始めています。が、それを口にしては何かが取り返しがつかなくなる気がして言い出せません。

146 北西部は旧トゥルダール領なので歴史が浅いです。

147 使い魔が来ていないという会話は誰かが聞き耳を立てていることを考えての罠です。

148 ラルスの本性については「盲目の魚」にて。

148 アヴィエラはエルザードが連れてきた上位魔族の女を取り込んで魔力を増大させました。

149-157.黄昏

一つの時代の終わりが迫っています。暗黒の前の時間です。

149 ないない言ってるのは呪具のカエル。シロンが「何故こんなものが」と言っているのは雫の書いたカエルの童話です。

149 救助された別大陸の人間について、詳細は後にエリクが語ります。

149 メディアルの城都はタァイーリの城都よりもずっと北西にあります。

150 この世界では実は「夜見る夢」と「将来の夢」を指す「夢」は違う単語です。が、雫は漢字を指しながら説明した為、エリクは「雫の世界では『ユメ』という同一の単語が後に二つの意味を持つようになった」と理解しました。彼が「ユメ」とカタカナで答えているのはその為です

150 エリクは言語によって思考が制限されている可能性に思い当たり、一度は雫の為に忘れようと思った呪具の存在を許容していいものか悩み始めます。それが雫の排除に繋がる可能性もあるのではないかと疑っている為です。

150 実際には雫が異世界に落ちてからきっかり一年ではありません。ただ雫がシセアに最初に日付を聞いてから一年になります。

151 シロンの言う「あれ」とはカエル。メディアルの宰相家はカエルを隠匿し、伝えていく為に血によらない世襲制を用いています。

151 シロンが「城近くにも魔物が出る」と言ったのは雫を攫った時にそう言い訳する為です。

152 冒頭は異界化するヘルギニス。

152 盲目の娘の話はいつか短編ででも。雫は呪具からそれを知りました。

152 エリクが読んでいたのは呪具の本。

153 もっと怖い奴とはオルティアのことです。

154 この最上位とはUMのトラヴィスのこと。

154 アヴィエラは人が同じ間違いを繰り返すことを憂い、そして人間を愛しています。

154 「紅い本」と言いかけた言葉が遮られた為、二人はお互いの意図しているものが食い違っていることに気づきません。

155 最後に雫の腕が当たったのはメアの籠。

156 この時エリクは、雫が本と繋がっていることを気づいています。彼女の見た夢や知識などから、「ない本の記述も汲みだせる」と判断した為です。そしてもしそれをアヴィエラも気づくのなら、雫は「手元にない本も読める人間」として有用と思われるであろうと考えました。

156 シロンは転移門を封鎖してファルサスの人間と雫がかち合わないようにと考えましたが、ニケは自身の転移で来てしまいました。

157 普通の人間なら死んでいる状況です。雫が生きているのは呪具のせい。この一件でエリクは雫に対して確信を持ちます。

157 「翻弄された幼子」とは呪具によって人生を左右されたアヴィエラのことです。

157 「奪いしものが奪い去られ、育てしものは蹂躙される暗黒の時代」これは暗黒時代を形容する決まり文句のようなものでAuraticaにも出てきます。

157 エリクが複雑な目をするのはレティからの連絡で彼女の無事とその異様な丈夫さを知っていたからです。そして彼はアヴィエラが敵に回ることで、呪具の本について全ては伏せておけないことを感じています。

158-179.人の祈り

雫の冒険としてはこれは最終章。それぞれの登場人物が残したいもの、そして人でありたいと思う雫の祈りがここで表れます。

158 暗黒時代に三国が滅んだという話は多分書かないであろうお話。ルクレツィアとレオノーラが関わってるとかとても言えない。

158 ヘルギニスより北、西にある小国はそれぞれ壊滅状態です。

158 ヘルギニスが滅んだ時の話はUM「夜に燃ゆ」にて。

158 ペン回しが出来ないハーヴ。彼は雫やエリクがひょいひょい回すのを見て気になってるようです。

159 冒頭は滅ぼされる村の風景。死の間際にありながら敗北を拒絶する少女の姿勢は、最後の雫と重なります。

159 ファルサス名物アヒルの銅像。

159 記録されている魔女の6人とは、魔女の時代の5人とフィストリアです。

160 冒頭はアイテアとルーディアの会話。この世界の「神」が何であるかは、「外部者」を巡る話とはまた別の話です。

160 エリクの解説は本については真実。そして雫については彼女を庇う為のミスリードです。雫が本を読めるのは「語り手」であるせい。彼はこの時、既に雫自身が外部者の核そのものであるとほぼ断定しています

161 雫にとってエリクは真実を暴く相対者であり、彼女を守り繋ぎとめる庇護者でもありました。

161 作中ではこの世界の人間も日本語で話しているように雫には「聞こえて」いましたが、呪具の機能的に言えば、雫自身が概念を理解し、なおかつこの世界に一致する概念の言葉があるなら、外来語でも訳されますし、また外来語に訳されることが充分にあります。それがほとんど出てこないのはやはりファンタジーの雰囲気を重視したかった為で、「マスター」だけが例外です。

161 ラルスとレティは本質的には同じ玉座を争う敵対者同士として育てられ、レティはそれを否定したいと思っています。彼女はディスラル以後に生まれてしまった自分たちの不運を恨みますが、それはどうにもならないことです。

161 ハーヴの恐怖は自分の好奇心への恐怖。師から呪具の本の話を聞いて以来、彼はその本に惹かれつづけています。

161 エリクは雫を助けることで呪具の呪縛を逃れられないと分かっていながら、彼女に未来をやりたいと思いました。雫とエリクは相手に影響を受け、相手を大事に思い、その結果最後で意志がすれ違うことになります。

161 エリクが回収して処分しているのはカエルの絵本を消す為。原本まで処分したのはカエルの本だけですが、回収は原因が特定できないように何種類かを回収しました。

161 雫の精神を守る為には彼女を殺さなくてはいけない、命を助ける為には精神を犠牲にしなければならない、その煩悶にエリクは苛まれることになります。彼女に真実を伏せ命を助ければ、それは彼女への裏切りでもあるでしょう。

162 レギウスとドルーザの侵攻についてはUMでちらちらと。「憧憬の空」もそうです。

162 呪具による暗示は二段階。それは本との繋がりと、呪具そのものであること、それぞれの隠蔽に分かれています。今回雫が思い出したのは前者だけです。

162 本を破壊しても、雫がいる限り生得言語はなくなりません。それを知っているエリクは「自分の推論が間違っている可能性もある」と予防線を張ります。

162 UMとBabelは、どちらも人としての尊厳、矜持を優先出来るか、という話になっています。が、オスカーとティナーシャがそれを二人で分け合ったのに対し、雫は一人でその結論を選ぶことになりました。

162 エリクが雫のパジャマを注意するのは彼女を異性として認識している為。一方雫が彼に抱く愛情はもっと無性別かつ無意識的なもので、作中では「見たい」「触れたい」という希望のみで表されます。

163 草花は儚いものの喩えとして聖書によく出てきます。人もまた然りです。聖書においてそれに対するのは神の永遠ですが、Babelでは不変の上位魔族や外部者の呪具がmortalで移ろいやすい人間に相対するものとして位置しています。

163 アヴィエラが残したかったものは争いの虚しさを身をもって知る人間、そして人々に根付くであろう過つことを恐れる感情で、強者を求めていたわけではありません。そんな彼女の収集癖は彼女が捨て切れなかった個人としての感傷になります。

164 アカーシアの剣士に殺されるのでは単なる英雄の魔女討伐譚になってしまう、アヴィエラはそれを嫌がりました。

164 外部者の呪具の破壊は非常に高出力の力が必要です。逆に言うと簡単に処分されてしまうものは、外部者の呪具そのものではありません。

164 ラルスはここでシルファの指輪を弄っています。

164 雫が二冊の本の記述権を動かせるのは呪具である為です。これはアヴィエラへの対抗策でありながら同時に、エリクが雫を見極める為の一方策でもありました。

165 本に関わりすぎれば雫は自分が呪具であることを思い出す可能性がある、だからこそエリクはこれが終わったら彼女の記憶を操作して本のことも忘れさせようと思っていました。呪具の打破を意図する人間たちの中で雫を守ろうとするエリクだけが異端で、彼は孤独な戦いと煩悶に直面し続けることになります。

165 本が何であるか、知っている片方はラルス、知らないのはアヴィエラの方です。

165 「ないとされているならないものだ」というラルスの意見は、「歴史が消されてもそれがなかったことにはならない」と考えたUMの主役二人とは正反対のものです。

165 アヴィエラが残したいものは忌避され、愚かだと嘲られる悪名。そしてラルスはディスラルのように死後も残る王にはなりたくないと思っています。

166 冒頭はファルサスの無名の武官。彼の遺物である剣をアヴィエラは拾って玉座に戻ります。

166 最終章において、それまで命を賭ける覚悟しか持っていなかった雫は、戦う覚悟、殺す覚悟、そして最後に死ぬ覚悟を問われることになります。

166 ハーヴが本を受け取ることを躊躇ったのは魅了されることを恐れた為です。

167 この大陸はアヴィエラの事件を切っ掛けに「変革の時代」「変革期」にはいります。

168 この城で利き腕の使えない人間がどうなるのかは、165の武官の死が物語っています。

168 かつて人を傷つけて退けたくないと思っていた雫は、ここにきて自分が無意識のうちにそれをよしとしていたことにカイトの指摘を得て気づきました。必要とされ、不平等を生み出す覚悟とは「殺す覚悟」のこと。決して分かり合えない雫とカイトは、けれど雫が覚悟を決め、彼の意見を肯定しないまでもその正当性を認めることで、彼を内包しとりあえずの共同戦線を取ることになります。雫は自分が度し難い理想家である自覚はありますが、それを芯では曲げません。

168 結局カイトは報酬を受け取らないまま姿を消しました。

169 雫が不審がる音はラルスがシルファを使って階段の壁をぶちぬいてる音です。

170 雫がぶつかった不可視の結界は邪魔なのでまもなく解かれています。

170 至近で顔をあわせて既視感を覚えるのは、本をエリクに預けた時のことがあるからです。

171 エルザードはアヴィエラが帰ってくることを待っている、それ自体が人間に惹かれているということを示していることに死の直前まで気づくことはありませんでした。

173 感情は過不足なく言語化することは困難であり、言語化した瞬間変質してしまう、その違和感にカイトは躓くことになりました。

173 アヴィエラと雫は似ています。理想家であること、その為に欺瞞があると分かっていながら自分の考える手段をとり続ける傲慢さ、現状への悲しみ、そして人間への愛情。カイトは魔女の目を見て二人の類似に気づいてしまった為、隙を作ることになりました。

174 アヴィエラが呪具の本を貰ったのは少女時代。そしてシロンの家から宝物が盗まれたのが一年半前、なので、シロンの家の宝物とアヴィエラの本は違うものであることがここから分かります。

174 エリクはこの段階で雫が不死であることを確信しています。

174 隠された王女の死とはレイリアのこと。歴史から消えた戦争の記述はファルサスの対シューラ戦、明かされなかった女王の苦悩はトライフィナのことです。

174 何千年経っても継がれていくものとは雫がエリクに語った元の世界の学問です。

175 雫の狙いは最初からアヴィエラを誘き出して水盆に落とすことです。

176 エリクが自由になったら本を使っての精神操作は止められると思い、雫は作戦を急ぎました。

176 雫は精神操作の為に自らの精神を下りていき、自身の真実に辿りつきました。息は魂の比喩で、彼女はその力を使ってアヴィエラに干渉します。アヴィエラが過去の記憶を思い出すのは雫によって根底に干渉されているからです。沈殿した感傷が浮かび上がるように彼女の表面に浮き上がってきました。

176 アヴィエラの記憶の底で泣いている誰かとは雫。雫は自分が人ではないことを悲しんでいます。

176 アヴィエラは自分が何をされているか勘付いた瞬間、雫の正体をも理解しました。このことによりアヴィエラにとって雫は排除すべき外部者になります。

177 雫は自分が不死であると分かっていた為、エリクに大丈夫と言おうとしました。

177 人ではない雫にアヴィエラは憐れみを覚えません。ただ憎悪と侮蔑だけが投げかけられます。彼女はエリクが雫を助けようとするのを見て、彼が雫に欺かれているのだろうと思いました。

177 同じ歴史を見る者として、アヴィエラはハーヴに弾劾されます。彼ら二人はどちらが正しいとも間違っているとも言えません。

177 アヴィエラと雫の会話を聞いていたカイトは「アヴィエラは自分を殺す強者を残したがっている」と理解し、死に行く自分が彼女を殺すことで彼女の希望を挫こうとしました。しかしアヴィエラは全てを失おうとする彼に対し、この場に立ち会った者としてのこれからの可能性を「残し」ます。

177 アヴィエラは死によって自身の妄執から解放されました。彼女をきっぱりと否定したハーヴはもはや呪具の本に興味を覚えません。

178 冒頭の言葉はシューラに雫が追われた時に夢で見た海のもの。この海は雫自身です。

178 ここであっさりと燃える本は、それが外部者の呪具本体ではないことを示しています。

178 雫は決着をつける為にラルスのもとへと向かいます。その途中で彼女は即死したはずの自分にエリクが治癒をかけたことで、彼が自分の不死性や正体を看破していると気づきました。

178 呪具が異世界人である雫を呼んだのは、以前呪具の核がこの世界の人間に取り込まれ、敵対者である逸脱者を生み出したという事実がある為です。

178 覚醒時の雫の力は実は世界最強クラス。覚醒した逸脱者二人がかりでようやく互角くらいでしょうか。(もっとも場慣れしてないので実際は微妙ですが)しかし彼女はその力を一回転移した以外には使いませんでした。

179 ラルスはようやくここで雫が人間であることを口に出して認めます。

179 アカーシアを抜く焼け爛れた手とは雫のもの。アカーシアごと落ちてしまわないようにです。

179 雫は死を選んだ瞬間、この世界の人間そのものとなり、この世界に深い愛情を抱きます。

179 最後に現れる翼は雫が最初砂漠で見たドラゴン、逸脱者のものです。

180-181.おわりの言葉

「はじまりの言葉」と対応するエピローグです。

180 雫が起きた部屋は、前に彼女が塔から飛び降りた時に寝かされていた部屋です。

180 「ネア ヴィヴィア」の「ネア」は敬称。「雫さん」の「さん」にあたります(女性につけるもの)。

180 エリクは雫が自分の名に反応しないと見て取ると、初対面の時に名乗られた名こそが本当の名だろうと呼び名を変えました。

180 「戻れる」という可能性が明らかになったことで、雫は二つの世界を平等に見つめ、どちらかを選ぶかの選択に向かうことになります。

181 エリクがレティにちくちくしてるのは、雫に残って欲しいという感情を帰すべきだという理性で抑えている、その感情部分を揺さぶろうとされるからです。

181 エリクが雫自身よりも彼女が見ているものの方を気にかけるのは、彼女の意識を何が引き寄せるのか気になる為で、好意の表れです。もっとも好意と言っても恋愛感情ほど熱いものではなく、愛情といった方が近いものですが。

181 簡単な言葉しか通じないならば、感情を表す言葉も分かりやすくする必要があります。エリクの場合それをしてしまうと現れるのは雫への好意であり、だからこそ彼は何も言おうとはしません。それは彼女を引きとめようとすることと同義であるからです。

181 残るか帰るか迷う雫は、エリクの「感情」を聞きたいと思います。が、それをしてはいざ決断をした時、彼にも責任がいってしまうということで結局は何も問いません。

181 写真がなくても忘れるはずがない、とは故郷の世界に対してもいえることです。

181 詠唱の言葉が何故分からないのかは、次の長編にて。UMでは詠唱の言葉は普通に記載されていました。

181 言葉の可能性を知っているのは雫だけ、彼女はそこに自分がすべきことがまだ残っているのではと考えます。

181 この世界が好きで、この世界で形成された自分を好ましく思う雫は既に、残留を決めかけています。それを最後に後押ししたのは彼女の名を呼んだエリクの声、彼女を守りながら何も押し付けない意志です。

181 エリクが言ってくれないであろう言葉とは178の「この世界にも君の居場所はある」です。

181 「運命など所詮人が左右するものだ」と「ことばを教えて」は004の言葉とそれぞれ対応しています。そして対になるエリクの言葉で始まった二人の旅は雫の言葉で終わります。

この作品を書くにあたって買った参考文献は、アウグスティヌス全集の「教師論」と「アウグスティヌスの言語論」「告白」です。実は他の本は元々持っていたので……。残りの参考文献はアリストテレスやらプラトンやら。西洋古典、中世哲学が参考書になっています。